「モンテヴェルディ」の音楽的功績と、その生涯

1567年~1643年

イタリアの作曲家

モンテヴェルディの生涯

  • 1567年 北イタリアのクレモナに生まれる
  • 1582年 モテットと宗教マドリガーレの譜面を出版
  • 1587年 世俗マドリガーレの最初の曲集を出版
  • 1602年 宮廷楽長となる
  • 1607年 最初のオペラ「オルフェオ」初演
  • 1613年 サン・マルコ寺院の楽長に任命
  • 1632年 カトリック教会の司祭に任命
  • 1638年 最大規模のマドリガーレ集(第8巻)出版
  • 1643年 ヴェネツィアにて没

モンテヴェルディの音楽的功績

モンテヴェルディは、ルネサンス後期からバロック初期に活躍した、生前からとても人気のある作曲家で、バッハやモーツァルトと同じくらい音楽的功績があると言われています。

モンテヴェルディは、最初から新しい形式を目指したのではなく、それまでに存在したマドリガーレ(イタリアの無伴奏のポリフォニー形式の歌曲)の作品をつくっていました。

(ポリフォニー音楽は、ルネサンス中期までに大きく発達した形式で、4声あればそれぞれの声部の重要度が均等で、美しく滑らかな均等の取れた楽曲を作るのに適しています。)

ですが、ルネサンスも後期に入ると世の中は大きく動き始め、地動説が証明され、大航海時代に突入します。

美と調和”を目指した中期とは違い、”ドラマティックなものや情熱”に湧き上がり、芸術にもその影響を与えずにはいられませんでした。

レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロを比べると、落ち着きのある画風と、今にも動き出しそうな作風の違いが顕著にわかると思います。

もちろんそれは、音楽にも大きな影響を与えました。

モンテヴェルディも例外ではなく、音楽でより”感情”の起伏を表現することを試みましたが、ポリフォニー音楽では歌詞が聞き取りにくく、それを表現することはとても困難で、難航します。

そこで、ソプラノとバスに重点が置かれる新しい対位法の可能性を探しはじめます。

これは、イタリアで生まれた「モノディ」といわれる新しい様式に近いものでした(モノディとは、独唱スタイルの音楽で、現代では主流のホモフォニー音楽の原型のようなものです)。

そして、ソプラノパートに明確な旋律聞き取りやすい歌詞を持ち、それらを楽器の伴奏によってしっかりと支える音楽スタイルが形成されてゆきました。

このスタイルは十分に音楽で感情を表現することができ、音楽を聴くだけでそれが”悲しい”のか”ユーモラス”なのかが分かるほどになりました。

これは、音楽文化において革命的な出来事でしたが、全盛期のルネサンス音楽(ポリフォニー)を完全に否定する内容だったので、ルネサンス的な従来の音楽を“第一作法”、モンテヴェルディの新しい音楽を”第二作法”と呼び、保守派と大きなバトルが起こりました。

しかし、時代に後押しされたモンテヴェルディの音楽は、この戦いに勝ち抜き、新しい時代の扉をあけてゆきます。

「明確な旋律」聞き取りやすい歌詞」「楽器の伴奏」というと、思い当たるものがありますよね。

そうです!オペラです。

このモンテヴェルディのスタイルから、オペラが生まれていったことはとても自然な流れのことでした。

そして、1607年に最初のオペラ作品「オルフェオ」を初演することとなります。

この「オルフェオ」の画期的な点は「オーケストレーション」で、作曲家が各声部への楽器指定をした最初の作品であると言われています。

オーケストレーションのはしりですね。

ルネサンス中期の作風と比べると、グッと近代感が増しているのが分かると思います。

この新しい形式は、バロック時代にオペラやモノディ形式として急激に発展してゆきました。

このように、時代を変えてしまう程に後世に強い影響を与えたモンテヴェルディの音楽は、「バロック音楽時代」を切り開き、西洋音楽史における1つの大きな革命と認識されています。

モンテヴェルディの作品

オペラ作品

モンテヴェルディは、多数のオペラ作品を作曲したのですが、現存するものは少なく、確認できているもので下記の4作品です。

  • アリアンナ(アリア「アリアンナの嘆き」のみ現存)
  • オルフェオ SV318
  • ウリッセの帰還 SV325
  • ポッペーアの戴冠 SV308

他の現存する大規模作品

  • タンクレディとクロリンダの闘い SV153
  • 聖母マリアの夕べの祈り SV206
  • 音楽の諧謔(1632年)
  • 倫理的・宗教的な森 (1640年)