【入門】クラシックを勉強しよう! 音楽用語が間単に頭に入る方法

あまりにジャンルや楽曲形態がたくさんありすぎて、どこから理解したらよいのかとてもわかりづらいですよね。

しかも、よく聞く名前なので、実は知っていると思い込んでいて、全然知らない言葉も多いです。例えば、「交響曲」や「組曲」ってとてもよく聞くクラシック用語でうが、言葉でしっかり説明できる人はあまりいないですよね。

このことから、クラシックの入り口ってわかりにくいんです。

でも実は、クラシックの楽曲を、規模や演奏スタイルによって大きく4つの形態に分けて考えると、楽曲の意味や専門用語が飛躍的に頭に入りやすくなります。

これがわかれば、きっとクラシックが10倍楽しくなるほずです。

クラシックを分類しよう!

クラシックを分類すると、4つの形態に分かれる

クラシックは、まず一番最初に大きく2つのジャンルに分けられます。

それは、楽器のみで演奏する「器楽」と、人声を中心に演奏する「声楽」の2つです。

そして、その内の「器楽」をもう少し規模によって細かく分類し、「管弦楽」「室内楽」「器楽(ソロ)」と大きく3つに分けます。

それに「声楽」を合わせ、合計4つのジャンルに分類することができます。(それに加え、どこにも分類しづらいオペラ等の舞台音楽があります)

図で表すとこうですね!

4つの楽曲形態の解説 ~器楽(ソナタ)

器楽(ソナタ) 声楽
管弦楽 室内楽 器楽(ソロ楽器)



交響曲 弦楽四重奏曲 ピアノ・ソナタ カンタータ
協奏曲 ピアノ三重奏曲 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ オラトリオ
交響詩 木管五重奏曲 無伴奏チェロ・ソナタ 合唱曲
組曲 ホルン四重奏 (性格的小曲) ミサ曲
序曲 サクソフォーン四重奏 歌曲
室内楽の演奏スタイル(重奏) 歌劇(オペラ等)

クラシックを理解するためには「ソナタ」を言う言葉を理解できれば、半分はクリアできたようなものです。そのくらい「ソナタ」とは幅広く理解しにくい言葉なのです。

ソナタとは「器楽」の総称で、クラシックにおいては「多楽章をもつ楽曲形態」のことを指します。

なので、多楽章からなるピアノソロ楽曲は「ピアノソナタ」、多楽章からなるストリングカルテットの楽曲は「弦楽四重奏曲」、多楽章のオーケストラで演奏される楽曲は「交響曲」という意味になります。

ソナタとは、実はこれだけ幅広い意味があるのですね。

なのでソナタとは、どんな大規模や小規模な楽曲形態であれ、「ソナタ」と名前のついていない楽曲であれ、多楽章の器楽曲全般を指します。

もちろん、クラシックの楽曲は全てが多楽章のソナタではないので、器楽の隣にあえてカッコ「()」をつけてソナタと補足しています。

それでは、管弦楽から順に説明していきましょう!

管弦楽(Orchestral music)

弦楽器、管楽器、打楽器などの複数のパートを組合わせて行なう大規模な演奏の形態を指します。

室内楽との違いは、室内楽が各パートが原則1人で担当するのに対し、管弦楽は各パート複数の人数で担当します。なので、室内楽よりかなり大規模な形態となります。

また、管弦楽を演奏する団体のことをオーケストラと呼びます

 日本語名 アルファベット表記 意味 著名な楽曲
交響曲 シンフォニー
symphony
管弦楽で演奏される大規模な楽曲。4つ程の楽章から成り、1つはソナタ形式が含まれる。管弦楽のソナタの代表格。 ・交響曲 第5番 ハ短調「運命」/ベートーヴェン
・交響曲 第9番 ニ短調「合唱付」/ベートーヴェン
・交響曲 第1番 ハ短調/ブラームス
・交響曲 第7番 ロ短調「未完成」/シューベルト
協奏曲 コンチェルト
concerto(仏、英、伊)
主に1つのソロ楽器(複数の場合も有)と、管弦楽によって演奏される楽曲形式。3つ程の楽章で構成される。 ・ピアノ協奏曲 第2番/ラフマニノフ
・ヴァイオリン協奏曲「四季」/ヴィヴァルディ
・ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調/チャイコフスキー
協奏交響曲
sinfonia concertante(伊)
協奏曲のようにソロ楽器と管弦楽で演奏される形式であるが、基本的にソロ楽器が複数存在する楽曲の形式。合奏協奏曲から発展した。 ・協奏交響曲 K364/モーツァルト
・協奏交響曲 変ロ長調/ハイドン
合奏協奏曲 コンチェルト・グロッソ
concerto grosso
バロック期に生まれた、複数のソロ楽器と管弦楽で演奏される形式。独奏部と合奏部の対比が特徴であるが、次第に協奏交響曲へ代わっていった。 ・合奏協奏曲集 作品6/コレッリ
交響詩 シンフォニック・ポエム
symphonic poem
絵画的、文学的なものを音楽で表現ようとした楽曲(標題音楽)。交響曲と違い、単一楽章形式で作られる場合が多い。 ・交響詩「わが祖国」/スメタナ
・交響詩「レ・プレリュード」/リスト
・交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」/シュトラウス
組曲 スイート
suite
いくつかの楽曲を組み合わせてひとまとまりにした器楽曲。オペラやバレエからの抜粋や、同じ標題を持つ楽曲を集めたもの等がある。 ・組曲「惑星」/ホルスト
・組曲「火の鳥」/ストラヴィンスキー
・組曲「展覧会の絵」/ムソルグスキー
序曲 オーバーチュア
ouverture
オペラ、バレエ、組曲等の最初に導入として演奏される器楽曲。物語の内容を暗示する重要な役割を担った。19世紀にはいると、1楽章の独立した管弦楽曲にもなった。 ・歌劇「フィガロの結婚」序曲/モーツァルト
・歌劇「ウィリアム・テル」序曲/ロッシーニ
・大学祝典序曲/ブラームス
前奏曲 プレリュード
prelude(英)、vorspiel(独)
「序曲」の一種ではあるが、物語とは関係ない楽曲であったり、序曲のように物語の冒頭だけではなく各幕の導入としても使われた。 ・楽劇「ローエングリン」より”第3幕への前奏曲”/ワーグナー

室内楽(chamber music)

コンサートホールや教会ではなく、サロンや宮廷等の室内で演奏されることを目的とした音楽のことです。

重奏」で演奏され、2~10人ほどの人数になることが多いです。

原則として楽器の各パートは1人で担当します。

 日本語名 アルファベット表記 意味 著名な楽曲
弦楽四重奏曲 ストリング・カルテット
string quartet
弦楽四重奏で演奏される、急-緩-舞-急と4つの楽章から成る形態。第一楽章は、交響曲やソナタと同じで、ソナタ形式が多い。 ・弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調/モーツァルト
・弦楽四重奏曲 第15番「アメリカ」/ドヴォルザーク
ピアノ三重奏曲 ピアノ・トリオ
piano trio
通常、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏による楽曲の形態。一般的に、ソナタと同じく複数楽章の構成を持つことが多い。 ・ピアノ三重奏曲 第7番「大公」/ベートーヴェン
・ピアノ三重奏曲 第4番「ドゥムキ」/ドヴォルザーク
・ピアノ三重奏曲 第2番 ホ短調/ショスタコーヴィチ
ピアノ五重奏曲 ピアノ・クインテット
piano quintet
ピアノと弦楽四重奏で構成されることが多い。一般的に、ソナタと同じく複数楽章の構成を持つことが多い。 ・ピアノ5重奏曲「ます」/シューベルト
・ピアノ5重奏曲 第二番/フォーレ
木管五重奏曲 ウィンド・クインテット
wind quintet
一般的には、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの編成による楽曲形態。 ・クープランの墓/ラヴェル
ヴァイオリン奏鳴曲 ヴァイオリン・ソナタ
violin sonata
通常、ヴァイオリンとピアノの二重奏による楽曲の形態。ヴァイオリンソロは「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」と呼ばれ区別される。 ・ヴァイオリン・ソナタ ト短調/ドビュッシー
・ヴァイオリン・ソナタ 第25番 ト長調/モーツァルト
チェロ奏鳴曲 チェロ・ソナタ
cello sonata
通常、チェロとピアノの二重奏による楽曲の形態。チェロソロは「無伴奏チェロ・ソナタ」と呼ばれ区別される。 ・チェロ・ソナタ ト短調 Op19/ラフマニノフ

アンサンブルスタイル(重奏)

重奏は、演奏人数によって呼び方が変わります。

今回は、10人での演奏のパターンまで記載しておきます。

日本語名 アルファベット表記 内容
独奏 ソロ
solo
1つの楽器による独奏。
二重奏 デュオ
duo
2つの楽器による重奏。
三重奏 トリオ
torio
3つの楽器による重奏。
四重奏 カルテット
Quartet
4つの楽器による重奏。
五重奏 クインテット
Quintet
5つの楽器による重奏。
六重奏 セクステット
Sextet
6つの楽器による重奏。
七重奏 セブテット
Septet
7つの楽器による重奏。
八重奏 オクテット
Octet
8つの楽器による重奏。
九重奏 ノネット
Nonet
9つの楽器による重奏。
十重奏 デクテット
Dectet
10の楽器による重奏。

器楽(ソロ楽器)

「器楽」とは、声楽」と対になる言葉で、楽器のみで演奏される音楽のことです。

器楽本来の意味は、管弦楽や室内楽も含んでしまいあまりに広すぎるので、ここではソロ楽器(独奏)のスタイルを「器楽」と呼ぶことにします。

それでは、ソロ楽器(独奏)の楽曲形態を見ていきましょう。

 日本語名 アルファベット表記 意味 著名な楽曲
奏鳴曲 ソナタ
sonata
独奏や重奏のための、3~4楽章から成るの楽曲。古典派以降、第一楽章にソナタ形式を用いた、高度な器楽の形式を指すようになった。 下記「ピアノ・ソナタ」「無伴奏ヴァイオリン曲」等参照
小奏鳴曲 ソナチナ
sonatina
ソナタに比べ、小規模な形式。2~3楽章程で、演奏も容易にできるものが多い。 ・ソナチネ ハ長調 Op.36/クレメンティ
・ソナチネ ハ長調 Op.20/クーラウ
ピアノ奏鳴曲 ピアノ・ソナタ
piano sonata
ピアノ独奏によるソナタ。3~4楽章から成り、1つはソナタ形式の楽章があることが多い。 ・ピアノソナタ 第8番「悲愴」/ベートーヴェン
・ピアノソナタ 第14番「月光」/ベートーヴェン
・ピアノソナタ 第11番「トルコ行進曲付」/モーツァルト
無伴奏ヴァイオリン曲
無伴奏チェロ曲
ヴァイオリン(チェロ)独奏による楽曲。通常、伴奏が必要な楽器がソロで演奏する時「無伴奏」と呼ぶ。声楽のソロの場合は「ア・カペラ」と呼ぶ。 ・24のカプリース/パガニーニ
・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ/J・S・バッハ
・無伴奏チェロ組曲 第一番 ト長調/J・S・バッハ
性格的小品 キャラクターピース
character piece
ロマン派以降、自由につくられたピアノのための短い楽曲 ・別れの曲/ショパン
・ハンガリー狂想曲/リスト
・ジムノベティ/サティ

4つの楽曲形態の解説 ~声楽

声楽曲

器楽と対になる言葉で、人間の声を中心とした音楽のことです。

人声のみの音楽限定というわけではなく、楽器の伴奏が加わることもよくあります。

近現代は器楽作品の方が圧倒的に数は多いのですが、まだ楽器が近代のように発達していなかったルネサンス期までは、声楽曲がたくさん作られました。

器楽作品が飛躍的に増えたのは、楽器が発達したバロック期以降のことになります。

 日本語名 アルファベット表記 意味 著名な楽曲
交声曲 カンタータ
cantata(伊)
独唱、重唱、合唱等に器楽や管弦楽の伴奏がついた、大規模な多楽章の声楽曲。アリア、二重唱、叙唱、合唱等で構成される。器楽曲を表す「ソナタ」の対義語
・「主よ人の望みの喜びよ」/J・S・バッハ
・「わがうちに憂いは満ちぬ」/J・S・バッハ
聖譚曲 オラトリオ
oratorio(伊)
大規模な声楽、管弦楽の楽曲。歌詞は宗教的(キリスト教)な題材で叙事的な物語性がある。オペラと似ているが、演技や大道具や衣装等は使わない。 ・天地創造/ハイドン
・キリストの幼時/ベルリオーズ
・オラトリオ「メサイア」/ヘンデル
ミサ曲 ミサ
mass(英),missa(伊)
カトリック教会のミサの各典礼文につけられた声楽曲のこと。5つの典礼文すべてにつけられた場合、通作ミサ曲と呼ばれる。 ・ミサ曲 ロ短調/J・S・バッハ
・ミサ曲 ハ短調/モーツァルト
合唱曲 クワイア、コーラス
choir,chorus
複数の声部に分かれた楽曲を、それぞれ複数の人数で歌う声楽の演奏形態。 ・カルミナ・ブラーナ/オルフ
・マタイ受難曲/J・S・バッハ
・美しく青きドナウ/ヨハン・シュトラウス2世
歌曲 リート
lied
クラシック音楽における、独唱声楽曲や少人数の重奏声楽曲。ロマン派時代に隆盛した。オペラやオラトリオ等の大規模声楽額品の中の1曲としては歌曲と呼ばない。 ・アヴェ・マリア/シューベルト
・野ばら/シューベルト
・夢のあとに/フォーレ

声域区分

 名称 音域 意味
女声 ソプラノ
soprano
D4~C6 女性の最も高い声域区分。
メゾ・ソプラノ
mezzo soprano
A3~A5 ソプラノよりも暗めの声質
アルト
alto
F3~B5 女性の最も低い声域区分。
男声 テノール
tenor
C3~C5 男性の高い声域区分。
バリトン
baritone
A2~F4 バスとテノールの中間の声域区分。
バス
bass
D2~F4 男性の最も低い声域区分。
男声特殊 カウンターテナー
counter tenor
 = 変声期を過ぎた男声が、裏声などを使って女声のパートを歌うこと。カストラートとは別と区分される。
ソプラニスタ
sopranista
 = 去勢せずとも女声のソプラノ音域を歌うことができる成人男性歌手。カウンターテナーとは区分される。
カストラート
castrato
 = 去勢することにより、第二次性徴時の声が低くなるのを抑え、ボーイソプラノの音域を保持できたとされる男声歌手。当時は大変人気があった。

その他の分類

クラシック音楽は、もちろん全てがこの4種類に分類できるわけではありません。

この幅広いクラシック音楽で、どこにも入れづらい少数派の音楽形態をここにまとめていきます。

舞台音楽

オペラ等の伴奏をする音楽をさします。

基本的に声楽が多いので声楽に入るとは思いますが、強い物語性や舞踊なども入るので、音楽以外の要素が強く、どこにジャンル分けするか難しいところです。

「舞台音楽」として、1つのジャンルをつくることが最も良いと思いいますが、現在は研究段階となっております。

日本語名 アルファベット表記 意味 著名な作品
歌劇 オペラ
opera
オーケストラ伴奏の歌唱と、演劇によって物語を演出する舞台芸術。ルネサンス期からバロック期にかけて飛躍的に発展した。 ・フィガロの結婚/モーツァルト
・椿姫/ヴェルディ
・蝶々夫人/プッチーニ
軽歌劇、喜歌劇 オペレッタ
Operetta
「小さなオペラ」という意味ながら、実際に小さいわけではない。形式はオペラと同じであるが、オペラに比べ喜劇的な内容で娯楽要素の強い作品が多い ・メリー・ウィドウ/レハール
ミュージカル
musical
オペラやオペレッタから進化した形態。ジャズやロックアンドのクラシック音楽以外で構成される音楽劇。ポピュラー音楽を主体とする点が最も大きな違い。 ・レ・ミレザブル/シェーンベルク
バレエ
ballet
楽曲や舞台芸術を、ダンスで表現する芸術。バレエのために作られた音楽や、バレエのために既存曲を編曲したものをバレエ音楽と呼ぶ。 ・『白鳥の湖』組曲/チャイコフスキー
・『くるみ割り人形』組曲/チャイコフスキー
・『ロメオとジュリエット』/プロコフィエフ

吹奏楽(Wind music)

管楽器(吹奏楽器)を主体とし、これに打楽器を加えた編成で演奏される音楽のことです。弦楽器は含まれません。

クラシックの世界では、軍隊や戦いに関するシーンでよく使われた音楽形態です。

具体的な楽器は、ピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエ、サックス、ファゴットの木管楽器と、トランペット、ホルン、トロンボーン、ユーフォニウム、チューバの金管楽器に、打楽器を加えた構成です。

基本的に弦楽器は含まれませんが、大編成の場合、コントラバスを加えることもあります。

日本でよく吹奏楽はブラスバンドと言われることはありますが、ブラスバンドは木管楽器を含まず金管楽器のみ構成されるため、本来の「吹奏楽」とは別の種類になります。

 日本語名 アルファベット表記 意味
吹奏楽 ウィンド・ミュージック
wind music
吹奏楽という音楽の種類。
シンフォニック・バンド
symphonic band
吹奏楽の形態の中では最大規模で、80名以上の大編成に成ることが多い。
ウィンド・オーケストラ
wind orchestra
吹奏楽の形態の1つであるが、実際の定義は曖昧であることが多い。
ウィンド・アンサンブル
wind ensemble
管楽器の各パートを1人づつ配置することを原則とした吹奏楽の形態。
金管バンド ブラス・バンド
brass band
吹奏楽と違い、金管楽器と打楽器によって構成される。通常は木管楽器や弦楽器は含まれない。