目次
時代背景
近代って何年ごろ?
西洋音楽史における「近代音楽」の時代は、書籍によってかなり幅がありますが、当サイトでは印象派音楽時代以降の、
- 20世紀初頭(印象主義時代の終わり) から
- 20世紀半ば(第二次世界大戦頃)」
までと考えて記載しております。
こうすることにより、「ロマン派~印象主義~近代」といった流れが見えやすくなるからです。
時代背景について
では、近代音楽時代の時代背景をまとめていきましょう。
初期の西洋音楽を支えてきた教会や王朝は、このころにはすでに音楽界から姿を消し、市民(ブルジョワ階級)が新しい音楽振興の担い手となって以降、西洋音楽は、ロマン派~印象主義音楽時代を経てより急激に発展していきました。
しかし、列強の帝国主義が強くなり、最優先にされるものは国家の利益となり、個人の利益や感情は強く抑えこまれてしまいます。
帝国主義の強国がひしめき合うヨーロッパで、暗黙の紳士協定により、強国同士の戦いは起こらない方向で世の中は進んでいました。
ですがそんな中、オーストリア=ハンガリーの帝位継承者の暗殺がきっかけとなり、、、
ついに第一次世界大戦が勃発してしまいます。
この第一次世界大戦は、長くヨーロッパ大陸を荒廃させ、音楽振興の中心となったブルジョワ階級をも崩壊させてゆきました。パトロンを失った西洋音楽は、純粋な流れは次第に勢力を弱めてゆきます。
このあたりで、純粋な流れの西洋音楽の歴史は終焉を迎えます。
近代音楽の特徴
近代音楽時代の始まり
印象主義音楽時代に活躍した巨匠たちは、第一次世界大戦以降は突然勢いがなくなってゆきます。
マーラーやラヴェルはすでにこの世から去っており、シュトラウスやラヴェルやシベリウスといった巨匠も、大戦以降は次第に影を潜めてゆきました。
大戦以降に西洋音楽史の表舞台で活躍したのは、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、プーランクといった若手作家たちでした。
この若手作家たちは、印象主義と同様に、いや、それ以上にロマン派の音楽に強烈な嫌悪感を示し、ロマン派的音楽を徹底的に排除しようとします。
近代音楽の特徴
近代音楽の作曲家は、ロマン派へのアンチテーゼを示し、機能和製や培われてきたリズムをこんていから崩してゆきました。
この時代の音楽は、古典派音楽の様相はほぼ残っていないと言ってよいでしょう。
ロマン派時代に、西洋音楽史の音楽理論でできる楽曲はほぼ出尽くしたという悲観論から、それを傍観して受け入れる人と、なんとかしてそれを脱却しようとする人と2極に別れてゆきます。
十二音技法
シェーンベルクは、西洋音楽という音楽理論を使った音楽の可能性に限界を感じつつも、新しい音楽技法やスタイルを求めてゆきます。
そして1921年、「五つのピアノ曲」でに完全に体系化したとされる、新しい作曲の技法にたどりつきました。
それが「十二音技法」であり、ドデカフォニー(dodecaphony)とも言われています。
これは、オクターブ内にある12の音を均等に使用することにより、調の成立から離れようとする作曲技法で、無調音楽を理論化するような試みです。
一回聞くと、もうロマン派音楽時代のような音楽は、欠片も残っていないことが分かりますね。
個人的には、”単音から和音”へ、”和音から機能和音”へ、”機能和音から大規模な音楽スタイル”へと発展していった西洋音楽史の、ここが終着駅であったように感じます。
西洋音楽史の終焉
「西洋音楽史の終焉」というとあまりピンと来ないかもしれませんね。
当サイトで説明したグレゴリオ聖歌に始まる壮大な西洋音楽の発展の歴史は、現代もなおヨーロッパで続いているかというと、、、そんなことはありませんよね。
いたるところで開催されている”クラシックコンサート”で、演奏される楽曲はどんな新しい作品でも1950年前後の作品までです。
70年以上も前ですね!
つまり、世間的な認識としても西洋音楽史(クラシックの歴史)は1950年頃には終了しているということなんです。
西洋音楽のその後
このように、一旦は終わりを迎えた西洋音楽ですが、もちろん完全に消えてしまったわけではありません。
現代でも、形を変えながら音楽シーンに大きな影響を与え続けています。
主に、下記の3つが現代に残るの西洋音楽の姿です。
①現代音楽
先述のシェーンベルクの十二音技法は、少数ながらも彼以降の作曲家に強い影響を与え、より不協和音、より難解な構造の音楽へと突き進むこととなります。
21世紀の現在も、”現代音楽”というジャンルは、”すぐ理解しにくい難解な音楽”というイメージがあると思いますが、これはこの流れを引き継いだものとなります。
また、ケージの「4分33秒」のように、全く演奏すらしない音楽まで誕生しています。
このように、ロマン派音楽からどんどん離れ続ける音楽として、少数派ながらも現代にも受けつかがれています。
西洋音楽史の本流の流れが、この「現代音楽」として生き続けていると言って良いかもしれません。
②ポピュラー音楽
現代では最も一般的となっているのが、いわゆる「ポピュラー音楽」ですね。
意外かもしれませんが、実はクラシックが源流となっていることが多いです。
ポピュラー音楽と言うのは「標題」があって、そしてそれを分かりやすく感動的に「機能和声」を使って作り上げられています。
この機能和声は、まさに西洋音楽史で発展したそのものですね!
そして、映画音楽なんていうのはロマン派時代に発展した”標題音楽”のまさに延長にあると思います。
ロマン派の音楽は、そのまま映画で使われているものもたくさんありますよね。
ポピュラー音楽は、ロマン派音楽が源流となって、その機能的和声とラテンアメリカといったさまざまな地域の音楽と結びつき、現代のような多様な音楽となってゆきました。
約50年も昔にビートルズがオーケストラ楽器をロックに取り入れたことも、当時はとても画期的でした。
クラシック音楽は、ポピュラー音楽と相反するというイメージがありますが、実際は西洋音楽で培われたものが根底にあるものがとても多いです。
③再現される音楽
西洋音楽の歴史の中で作られた音楽は、コンサートで演奏されたり、鑑賞されたり、教材となったりして、何度も何度も「再現」される音楽として今も生き続けています。
例えば、クラシックコンサートと言えば、ほとんどが”バロック時代から近代音楽”の時代の音楽を演奏していると思います。
つまり、指揮者のやオーケストラ団体による再現音楽です。
また、ピアノを始めたら必ず一度はこの時代の音楽を弾くと思いますし、音楽の授業ではクラシックの名曲を必ず聴くと思います。
このように、現代でも色あせることなく、街中のいたるところで流れているのを聴くことがあると思います。
毎年12月に、”ベートーベンの第九”を聞かない年はありませんよね。
何百年も前につくられた音楽なのに、とても不思議な感覚です。
21世紀のポピュラー音楽の世界では、作曲者が死去した音楽は、そのまま廃れていってしまうのが常なので、それほど西洋音楽というものの影響は偉大だったと言うことができると思います。
現代において、作者が亡くなって何百年も経っている音楽をコンサートで演奏するのは当たり前のようになっていますが、実はこの流れを作ったのは、メンデルスゾーンなんです。
メンデルスゾーンは、当時今のように人気作家ではなかったバッハの「マタイ受難曲」の譜面を発見し、そのあまりの完成度に感動し演奏会をしようと思い立ちます。
その時、作曲者のJ・S・バッハが死んでから何十年も経っていました。
なので世間からは「そんな昔の楽曲のコンサートなんて誰も聞きに来るはずがないい」という前評判だったのですが、、、ふたをあけてみると”大成功”でした。
良い音楽は、時代を超えてもすばらしいことが証明され、その後もバッハのコンサートが何度も続けられたそうです。
これが、現在のクラシックコンサートの起源だとされています。
近代音楽の作曲家
主な作曲家一覧
- プロコフィエフ
- ショスタコーヴィチ
- プーランク
- ハチャトゥリアン
- バルトーク
- シェーンベルク
- パウル・ヒンデミット
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