「五線譜」って、周知の通りヨーロッパで西洋音楽の発展と共に進化してきました。
音楽が進化すれば、その音楽を再現できるように楽譜の進化も必要だったのですね。
もちろん最初は、譜面は今のような完成された形とは程遠く、音の高さをざっくり示すだけの単純なものでした。
そこから、和音が進化すれば和音を表記できるように、リズムが進すればリズムを表記できるように楽譜も進化してきました。
楽譜は、音楽の発展に追随してどんどん進化してきたのです。
ですが、この現在まで進化し続けている”五線譜”は、よく見ると不可解なことはありませんか?
それぞれの線は均等ではありませんよね。
例えば、「ミ」と「ファ」の間は半音、「ファ」と「ソ」の間は全音となっています。
これは、ピアノなどの鍵盤の白鍵と黒鍵の位置もおなじことですね。
つまり、鍵盤楽器を忠実に再現するために、今の譜面は存在すると言っても良いかもしれません。
もしくは、鍵盤楽器の音楽を忠実に再現してるのかもしれませんね。
このように五線譜は、鍵盤楽器のCメジャー(ハ長調)、もしくはAマイナー(イ短調)がとても表記しやすくなっているように感じます。
耳に慣れた、メジャーキーとマイナーキーの2つです。
ですが、私はここで勘違いをしていました。
グレゴリオ聖歌が成立した6~8世紀ごろ、下記のようにスケールは8つほどもありました。
バロックの時代に、メジャーキー(イオニアン)と、マイナーキー(エオリアン)という、音楽理論的にも使いやすいスケールだけが残っていきました。
このように、メジャーキー(イオニアン)と、マイナーキー(エオリアン)を表記しやすい譜面に進化していったのです。
Cメジャーをである調号が何もついていない譜面は、Cメジャーキーと、Aマイナーしか表記できないのですから、、、
と私は思っていました。
ですがそれは間違っていました。
良く見ると、調号が何もついていなくても、「レ」の位置から音を並べると、、、Dドリアンになります。
「ミ」から並べはじめると、フリジアンになります。
実際、レの音がルート音となる楽曲を、白い鍵盤のみでつくると、、、それはDドリアンスケールを使った楽曲となります。
つまり、、、五線譜とは、8つもあるチャーチスケールを完璧に記譜できるあまりにも優秀な譜面だったということですね。
ヨーロッパの西洋音楽史の集大成が”五線譜”と言っても過言ではないかもしれません。
この五線譜の凄いところは、五線譜が進化したヨーロッパ以外の音楽の記譜もこなせるところです。
例えば、ヨーロッパとは遥か遠い、アメリカ大陸で誕生・発展したブルースの音階は「ド・レ・bミ・ミ・ファ・bソ・ソ・ラ・bシ・シ」も、臨時記号をたくさん使わなければなりませんが、しっかりと五線譜で表記することができます。
もちろんブルース以外の、世界のどこでできあがった、西洋音楽と全くゆかりが無い音楽でもほぼ完璧に表記することができます。
このように、スケール、リズムといった、音楽の基礎となる要素を見事に表現できる”五線譜”は、見事なほどの完成度を誇っているといって良いでしょう。
ですが、この五線譜の完成度は、あまり評価されることはありませんよね。
あまりに便利すぎて日常に溶け込んでしまっているので、ありがたみが無いのかも知れません。
このヨーロッパ人が発展させてきた、この五線譜のスゴさがなかなか浸透していないのは、私としてはもどかしくてしかたがありません。
どうか、みなさんだけは知っておいてくださいね。
また、歴史的に見ると、今後、五線譜が発展することがあれば、それは音楽が進化することが必要となります。
現在の五線譜では、とても表記できない新しい音楽が出てくれば、きっとまた譜面も進化していくでしょう。
みなさんもぜひ、譜面を進化させるほどの斬新な音楽を作ることに挑戦してみてくださいね。