「悲しみの向こうへ」 コード進行分析&解説

今回は、何かと話題になったゲーム&TVアニメ「School days」の挿入歌、「悲しみの向こうへ」のコード進行の解説をしたいと思います。

この楽曲の世間的なイメージは「陰鬱」「怖い」というイメージがあるようですが、実はその部分を強調するために様々なテクニックが使われています。

この楽曲で勉強できるところは、「悲しみ」「切なさ」をより強調して表現する方法です。

(※Bメロで、完全にコードネームが付けれなかったところがあるのはすみません。)

サビ

key of Gm

Gm F6 Eb△7 Bb on D
Ⅰm Ⅶ6 Ⅵ△7 Ⅲb on Ⅴ
Cm Bb D7
Ⅳm Ⅶb Ⅲb Ⅴ7
Gm F6 Eb△7 Bb on D
Ⅰm Ⅶ6 Ⅵ△7 Ⅲb on Ⅴ
Cm Gsus4 G
Ⅳm Ⅶb Ⅰsus4

サビの印象的なフレーズから始まるこの楽曲。アニメの壮絶なバッドエンディングで使われていることもあって、トラウマになっている人も多いのではないでしょうか。

このメロディは、最初のGmのところでマイナー感全開で悲しみや陰鬱感を背負って登場します。

ですが、そして次の「F6」では、悲しみよりは”切なさ”を感じるコードを持ってきています。シックスコードの絶妙な響きです。この2つのコードでこの楽曲の方向性が決まりますね。

さらに、この時「G⇒F⇒Eb⇒D⇒C」と下っていくベースがより切なさを増幅しています。

そして、サビの最後はGと、Gmではなくメジャーで終わっているところが、より悲しさよりも切なさを感じる構成となっています。

涙がこぼそうです、、、

マイナー感全開で始まった割には、サビ全体で見るとあまりにも”切なく”まとまっています。

アニメやゲームの使われている「怖い」「ヤバい」「鬼畜」というシーンに合わせるよりも、主人公たちがこうなってしまったいきさつや、青春の悩み・葛藤といったところを表現している楽曲に仕上げようとしているところに好感が持てます。

間奏

Gm Am on G Gm7(9) C on G
Ⅰm Ⅱm on Ⅰ Ⅰm7(9) Ⅳ on Ⅰ
Gm Am on G Gm7(9) C on G
Ⅰm Ⅱm on Ⅰ Ⅰm7(9) Ⅳ on Ⅰ
Eb△7 Dsus4 D
Ⅵ△7 Ⅴsus4

と、思ったのもつかの間、サビ後のイントロ的なこのパートでは、「ヤバい」「鬼畜」感が全力で出ています。

ちょっと打ち込みっぽいチープな音使いが気になるところですが、、、逆にそれがより人間の内面的な怖さを強調していると前向きに捉えることができなくはありません。

この間奏(イントロ)に、このアニメの本来のドス黒さが凝縮されています。

Aメロ

key of Bb

Bb F on A
Ⅴ on Ⅶ
Ab6 Eb on G
Ⅶb6 Ⅳ on Ⅵ
Gb Bm on F
Ⅵb Ⅰm on Ⅴ
Em7(b5) Fsus4 F
Ⅳ#m7(b5) Ⅴsus4

その凝縮されたドス黒さの後は、一転メジャーに転調します。

この部分は、現実に起きた惨劇をよそに、まるで2人が出会った頃を思い出すかのような、楽しくも、どこかもの切ない青春の日々が見え隠れします。

そして、中盤の「Gb」「Bm on F」「Em7(b5)」のマイナーからの借用の流れでは、未来起こり来る惨劇の匂いを少し出してくるところが抜群にセンスが良いですね。特に「Em7(b5)」では一旦どん底まで落ちた感があります。

このコードが、メジャーに転調しながらも楽曲全体の”悲しさ・切なさ”のバランスや統一感を取っているといっても良いでしょう。

Bメロ

Bb on Ab Ebadd9 on G
Ⅰ on Ⅶb Ⅳadd9 on Ⅵ
Ebm on Gb Ebadd9  onF? D7 on F#
Ⅳm on Ⅵb Ⅳsus4 on Ⅴ Ⅲ7 on Ⅴ#
Gm Gbaug Bb on F C7(9) on E
Ⅵm Ⅵbaug Ⅰ on Ⅴ Ⅱ7(9) on Ⅳ#
Eb△7 Dsus4 D
Ⅳ△7 Ⅲsus4

ここは引き続きメジャーが続きます。Aメロの「Em7(b5)」で、どん底の修羅場を乗り越えた2人が、「Bb on Ab」の展開によってさらに絆が深くなったような印象です。

Bメロはサビまでは少し浮き足だった印象を受けるシーンです。サビを強調させるために、あえてここは悲しみの表現をしていません。

そして後半は、「Eb△7」から「F」へと行かず、「D」へと向かっていくところが劇的ですね。

これから、、、何かすごいことが起きる、、、と予感させるような重要な役割を担っています。

サビ

key of Gm

Gm F6 Eb△7 Bb on D
Ⅰm Ⅶ6 Ⅵ△7 Ⅲb on Ⅴ
Cm Bb D7
Ⅳm Ⅶb Ⅲb Ⅴ7
Gm F6 Eb△7 Bb on D
Ⅰm Ⅶ6 Ⅵ△7 Ⅲb on Ⅴ
Cm Gsus4 G
Ⅳm Ⅶb Ⅰsus4

そして、あの印象的なフレーズでサビに戻ってきます。

ついに事件が起きてしまった、、、そう思わせるよな楽曲展開です。

ABメロをあえてメジャーでつくり、サビとの対比を出すことにより、サビのメロディがより印象的に際立ちます。

前編通して切ない楽曲なら、そこまでこの切なさは強調されません。

何事も、対比によって一番表現すべきところを印象的にできる、、、そういったことをこの楽曲は教えてくれました。

また繰り返しになりますが、Aメロのメジャー感の中で出てくるマイナーの借用箇所が、全体のバランスを取っているころは絶対に忘れてはなりません。

この楽曲はもっと評価されるべきかもしれません。

間奏

key of Bb

Eb F Bbadd9
Ⅰadd9
Am7(b5) D7 Gm
Ⅱm7(b5) Ⅲ7 Ⅵm
Eb F Bbadd9 C
Ⅰadd9
Eb Eb Dsus4 D
Ⅲsus4

最後に、念のために間奏のコードも掲載しておきますね。