音楽という大海原で、遭難したことがある方へ

音楽を勉強、研究することって楽しいですか?

大好きな音楽を仕事にしたい、、、

そんな思いで日々音楽と格闘していると思います。

でも、おそらく、、、音楽は本気で研究すればするほど楽しくないことの方が多いです。

音楽に限らず何を突き詰めようとしても、自分にとって大きな壁が立ちふさがります。

例えば、

「冒頭部分でいいメロディができたけど、次の展開がうまくいかずもう2週間も経ってしまった、、、もう何も浮かんでこない、、、」

とか、

「いい曲はできた気がするんだけど、何かがもう一歩足りない気がする、、、。でもそれが何かがわからない、、、ちょっとコードとかいじってみたらグチャグチャになった><」

とか、

「自分がすごく好きだった映画音楽があって、サントラも買って気持ちよく聴いていたのだけれど、作曲者を調べたら実は年下だった、、、」

とか、

「切磋琢磨してきた同じ作曲仲間が、自分では到底追いつけないような楽曲を創ってきた、、、」

とか、、、

音楽を研究していると、嬉しいことよりもショックなことが多いですよね。

でも、音楽の力を向上させるためには、乗り越えなくてはなりません。

このように音楽を勉強することを、「航海」に例えてみるとしっくりきます。

あなたも思い当たるところがあるのではないでしょうか?

音楽を研究や勉強を始めたときは、「船出」です。

あなたは、何百人というたくさんの人に見送られながら、岸を離れました。

華々しい船出ですね!

新しい大陸という、自分にしかできない楽曲創りを目標に、志高く大海原に出たことでしょう!

潮の香りがする風、さざなみがボートに打ちつける海の音、まぶしいくらいに帆を照らす太陽。

ハレーションがとても気持ちいい最高の出航ができました。

振り返ると、まだ小さくですがまだ手を振ってくれています。

やっぱり海の大冒険って楽しいですね!

さて、これから1人でしっかり研究しよう!

そう思って高いモチベーションで研究をスタートします。

最初は新しい発見がたくさんあって、どんどん船はスピードを上げて岸を離れて行きます。

初めて出た海は、毎日新鮮なことばかりで時間を忘れてしまいます。

しかし、、、1年や2年もたってくると、、、

冒頭で話したような、、、苦しい事が起きてきます。

「いい曲ってどういうこと?」「菅野よう子みたいな曲どうやってできるの?」「友達の方が凄いんじゃないか、、、」「あの作曲家自分より若い、、、」

など、、、だんだん不安が大きくなってきます。

そして、あれだけ壮大に見送られた岸を振り返ると、、、

もう360度、海しか見えません。

水平線のど真ん中にいることに気づきます。

頼るところが無い、船から下りることもできず、戻ろうにしても正確な方向がわからない。

しかも、今は前に進んでいるかもわからない!

この大海原の大冒険の先がわからない、、、

人生という大冒険の舵取りは、いったいどこへ向けたらいいのか、、、

そして時間が経ち、、、ただただ波に揺られる日々が続きます。

甲板から見た海は、あれほどたくさんの発見があった出航当時とはうってかわって、昨日と、一昨日とまったく同じ表情にしか見えません、、、

ああ、、、あの岸に戻りたいな、、、

こんなに悩むことがなかったあの岸に、、、

と思った時、、、

どんな人にも神様が現われます。

「もしそなたが望むのなら、、、岸に戻してやろう、、、」

と甘い誘惑をかけてきます。

大概の人は、ここで「SOS離脱」をしてしまいます。

音楽と別の道を選んでしまうのですね。

その選択も決して間違いではなく、早期離脱した方が賢い選択もあります。

しかし、本当に新しい大陸を目指すには、そんな神様の誘惑には決して負けてはなりません!

現在地も向かっている方角もわからない海原で、自分を信じて舵を取らなければならないのです。

そして何年もたって、食料も尽きて、体力も気力もぼろぼろになって、、、

初めてあなたは新しい大陸を見つけることができるのです!

誰も知らない、地図に載っていない大陸を発見するには、まずは岸を離れなければなりません。そして、地図に描かれていない方向に向かって舵を取らなければなりません。

それは、一度向かったら帰ってこれるかどうかわからない、かといって途中で引き返すわけには行かな一世一代の大冒険です。

音楽で仕事をするということは、そういう大海で遭難し続けるというなんです。

人と違うものを海ださなければならないクリエイティブ職の宿命です。

たった今、大海原で遭難しているあなた。

本当のあなたにしかできない音楽は、遭難の先にしかありません。

今のあなたは決して間違ってはいません。