【楽典】アーティキュレーションを示す記号一覧

アーティキュレーション記号とは、楽譜の音符だけでは説明できない具体的な奏法を指示してくれる記号のことです。

「レガート」と「スラー」の違いように、基礎中の基礎が意外にちゃんと意味を答えることができていない人が多いところなので、ここでしっかり勉強していきましょう!

アーティキュレーションを理解するための、目からウロコ的な基礎

何も書かれていない音符の演奏は、実は音と音の間を8分の1程度空けることが基本となっています(実際は曲調にもよりますが、、、)。

そうすることによって、音符一つ一つがしっかりと聞こえるようになるからです。

例えば、図のように4分音符が2つ記載されていたとします。

その2つの音の間には4分音符の8分の1、つまり「32分休符」を入れて演奏することが基本となります。

この基本ですが、「え!?実際本当に切ってるの?音はつながってるよ!?」と思う人がいるかもしれません。

正確には「切る」のではなく、ボウイングの返しや、運指の「間」であったりします。

その「間」には楽器特有の響きの余韻が必ず入るので、結果つながっているようには聞こえます。

ですが、その「間」をキッチリつなげたり、時にはもっと間を空けたりと、どのように演奏するかによって、楽曲にいくつもの彩りを与えることができます。

この感覚が「アーティキュレーションを示す記号」を理解する第一歩となるでしょう。

アーティキュレーションを示す記号一覧

アーティキュレーションを示す記号
記号 読み方 意味 実際の音
テヌート
tenuto
音価いっぱいまで音を伸ばす奏法。レガートと違って次の音との繋がりを意味しない。その音のみ伸ばす。
レガート
legato
ボウイングやタンギングせず、次の音とらかにつなげて演奏する。スタッカートの対になる奏法。
スラー
slur
レガートで演奏する範囲を指定する記号。指定範囲内の音をレガートで演奏する。同じ音が続く場合のみタンギングやボウイングをする。
ノンレガート
non legato
レガートの対になる意味で、程よく音を切る奏法。スタッカート程に短くは切らない。
メゾ・スタッカート
mezzo staccato
テヌート・スタッカート
tenuto staccato
スタッカートより十分音を長く保って音を切る、もしくは柔らかく切る奏法2つ記譜方法があるが、スラー記号で書かれる方は、弓を返さず演奏する。音価は3分の2。
スタッカート
staccato
音と音をつなげず分離する奏法2分の1の音価だが、実際は更に短い時がある。レガートの対になる奏法。
スタッカティッシモ
staccatissimo
通常の4分の1の音価で演奏される意味ですが、実際はもっと短く演奏される事が多い。
スピッカート、ソティエ
spiccato,sautille
弓の中心を弦の上で跳ねることにより、短い音価の音を出す奏法。記号はスタッカートと同じ。
リコシェ
ricochet
弦の弾力性を利用し、跳ねさせながら速いスタッカートで演奏すること。
アクセント
accent
その音の音量を上げ、強調して演奏すること。「rf」「fz」「sfz」と似た意味。
また、「>」の時よりも「」や「」の時の方が強く演奏される。
アクセティシモ
accentissimo
アクセント「>よりも」さらに強調して演奏する。
アクセントテヌート
accent tenuto
「アクセント」+「テヌート」の意味。アクセントをつけて十分に音価を保つ奏法。
アクセントスタッカート
accent staccato
 「アクセント」+「スタッカート」の意味。スタッカート奏法で、アクセントをつけて演奏する。
マルカート
marcato
一音一音はっきりと際立たせて演奏するスタッカートのように音を分離するという意味は含まれてない。
ポルタメント
portamento
次の音に移行するとき、音程を徐々に滑らかに変えながら演奏する
ピチカート
pizzcato
弦を指ではじいて演奏する。弓などは使わない。
バルトークピチカート
Bartok pizzicato
指板と垂直に弦を強く引っ張り、離して弦を指板にぶつける
アルコ
arco
弓を使って弾くこと。最も一般的な奏法で「ボウシング」とも言う。ピチカートの反意語。

複数音に効果がある記号

記号 読み方 意味
メゾ・スタッカート
mezzo staccato
(スラー+スタッカート)
メゾズタッカートで演奏するが、弓を返さず演奏する。音価は3分の2。
(スラー+テヌート) 調査中
ソステヌート
sostenuto
レガートと同じ奏法。レガートがその音のみを指すのに対し、長い小節や曲全体に対して使われる。

その他のアーティキュレーション記号

記号 読み方 意味
ポルタート
portato
1つ1つの音を運ぶかのように、やわらかく区切って演奏する。
ストラッシナンド
strascinando
音を引き伸ばしながら、ゆっくりと演奏する。
コン トゥッタ ラ フォルツァ
con tutta la forza
全力で。全身の力を込めて演奏する。
マルテラート
martellato
弓に弾力をつけて、力強いスタッカートを連続で演奏する。杭を打つ感覚。

豆知識

  • レガートとスラーの違いは?
  • レガートとノンレガートの違いは?
  • スタッカートは、どれだけ音を切るの?
  • スタッカートとスピッカートの違い(跳ねる意味があるかの差、実際の時間は?)
  • スタッカートとマルカートの違い

(執筆中)

練習問題

問題

初級編

次のアーティキュレーション記号の意味を答えましょう。

スラー
スタッカート
テヌート
メゾスタッカート
マルカート

中級編

次の音を聴いて、どのアーティキュレーション記号を演奏したか答えましょう。

上級編

次の違いを説明しましょう。

⑪テヌートとレガートの違い

⑫スタッカートとスピッカートの違い

答え

呼び方 意味
スラー レガートで演奏する範囲を指定する記号。指定範囲内の音をレガートで演奏する。同じ音が続く場合のみタンギングやボウイングをする。
スタッカート 音と音をつなげず分離する奏法2分の1の音価だが、実際は更に短い時がある。レガートの対になる奏法。
テヌート 音価いっぱいまで音を伸ばす奏法。レガートと違って次の音との繋がりを意味しない。その音のみ伸ばす。
メゾスタッカート スタッカートより十分音を長く保って音を切る、もしくは柔らかく切る奏法。2つ記譜方法があるが、スラー記号で書かれる方は、弓を返さず演奏する。音価は3分の2。
マルカート 一音一音はっきりと際立たせて演奏する。スタッカートのように音を分離するという意味は含まれてない。
スタッカート
ピチカート
テヌート
ポルタメント
レガート or スラー
テヌートとレガートの違い テヌートは「その音を音価いっぱい延ばす」意味で、レガートは、「次の音を滑らかにつなげる」意味。その音単体か、次の音との関わりがあるかどうかが最も大きな違い。
スタッカートとスピッカートの違い スタッカートは「音を分離する」意味。スピッカートは「跳ねるように」弾き音を短く出すという意味。「跳ねるように」が入っているかどうかが大きな違い。

「実際の音」で使用した譜面