ロックは将来的に学問になります。
そんなバカな!
と言われそうですが、歴史をたどってゆけば必ずそうなる運命となっています。
そして、その道へは着実に進んでいます。
その理由を説明するために、時代はルネサンス期にさかのぼっていきましょう。
この当時の音楽は、現代のように音楽で感情を表現したり、情景を表現するというところまで発展していませんでした。
ルネサンス後期、当時著名な作曲家であったモンテヴェルディは、それまで主流であったポリフォニー音楽に疑問を感じ始めます。
ポリフォニー音楽とは。4和声の全てが平等にメロディを歌い、平等な力関係なので、メインとなる旋律[メロディ]が存在しない対位法的な音楽のことですね。
モンテヴェルディは、このポリフォニー音楽では、4和声の声部全てが歌うので、リスナーはどの部分の歌詞を聞いたらよく分からないため、音楽で感情を表現することに限界を感じていました。
そして彼は、4和声のトップノートであるソプラノに主役を任せ、歌詞を歌うことを思いついたのです。
つまり、トップノート以外は伴奏となる、「モノディ形式」とよばれるホモフォニー音楽の扉を開いたのです。
そうすると、歌詞の世界がダイレクトに伝わり、西洋音楽史で始めて音楽で感情を表現することができるようになったのです。
しかし、ルネサンス期のあの美しいポリフォニー音楽を作ってきた保守派の人たちはが、この新しい様式に徹底的にを批判し、大きなバトルとなりました。
そして、最後はモンテヴェルディの新しいスタイルが勝利し、現代でも主流となっているスタイルが生き残ったのです。
そしてこのモノディ形式は、音楽で情熱を表現することが可能となり、物語を作ることが可能になりました。
そして、さらに進化したこのスタイルは、オペラや協奏曲のの誕生へとつながってゆき、さらなる大きな進化を遂げてゆきました。
このように新しい形式が 生まれてくると必ずそれまでにた保守派たちが反論してきます。
そして生き残ったスタイルが 後の世の主流となってゆきます。
近年、これと同じような事が起こったのは、1900年代前半のジャズです。
ジャズが生まれた当時は、社会役のように扱われ、大人たちからの批判の的となっていましたが、今となってはジャズはもはや、格式のある学校でもジャズ科があるほどの学問になっていますよね。
音楽ジャンルというものは、新しく生まれてきた当時は、保守派に批判されますが、そのバトルに勝って生き残れば、たくさんの人がその音楽に憧れ研究し、いろんなジャンルと結びつき急激な進化を遂げます。
そして音楽としてある一定のクオリティにまで発展すると、その音楽に対して誰も批判できなくなり、研究が進むと学問となってきます。
あまりのクオリティの高さに、誰しもが研究したくなるということでしょう。
そしてその学問が、さらに追求されていくと”バイブル”となっていきます。
つまりクラシックのようなポジションですね。
それと同じ歴史をたどっているのが、、、
現代の「ロック」なんです。
ロック の根源となっているものは”社会への反骨”です。
1950年代生まれた当時、エルビスプレスリーを初めとするロックスターが、世の中に不満がある若者たちを熱狂させました。
そしてロックは、世の中の批判を受けつつも、若者を中心に市民権を得続け、様々なジャンルと融合し、より新しく進化したロックのスタイルが出来上がって結いつつあります。
ただ、ロックは若者を魅了しすぎたということもあって、現代においても、「うちのバカ息子はロックバンドやってるから」ていうことも言われることもあり、まだまだ学問やバイブルとはなりえていない状況です。
ですが、あと20~30年も経てば、ロックはさらなる進化を続けてゆくでしょう。
そして、、、ゆくゆくは学問となるでしょう。
100年もすればバイブルになるかもしれません。
ただ、ロックとジャズの誕生は数十年ほどしか変わりませんが、ジャズほど急激に学問へと進化していないのも事実です。
ジャズは、ロックに比べればリズムも コード進行も全てが複雑で、生まれたときからすでに一定のクオリティがあり、学問になりやすかったからというのはあると思います。
ロックは、ジャズに比べればリズムもコードも圧倒的にシンプルです。
現在は、ロックはミクスチャーと呼ばれる電子音楽などと結びついたものなど、より複雑なジャンルへと進化しつつあります。
ゆっくりではありますが、着実に学問への道を歩んでいます。
ビートルズのようなスターは今でも心を動かしつづけていますよね。
こう考えると、私はロックの更なる進化が楽しみでなりません。
現在は、音楽というものは全てのジャンルが出尽くしたとされています。
ジャズやロック以降は、テクノという新しいジャンルが生まれてきましたが、モンテヴェルディほどの革命的な進化は、もう期待することはできません。
なので、今からは新しいジャネットよりも他のジャンルと結びついて 生まれていくスタイル が主流となってくるかもしれませんね。
ひょっとしたら、数年前から流行っているボカロとかも、100年後にはバッハモーツァルトベートーヴェンと並んで”○○P”といった人が、小学校の音楽教室の壁に肖像画が並べられるような時代が来るかもしれませんね。
「音楽は進化し続ける。」
これが、音楽史を研究する上で、本当にワクワクすることなんです。