スケール
なぜ音楽理論を勉強しなければならないか、、、
ピアノを弾くプレイヤーでしたら、楽譜の意味が分からないといけないので、必死に勉強することでしょう。
ですが、より感覚の部分が大きな作曲においてはどうでしょうか?
今回は、音楽理論が作曲にとってどれだけ大事か、どういったところで大いに役に立たつかということを、じっくりと解説していきたいと思います。
勉強の仕方を間違っている学生がほとんど
音楽理論が苦手なみなさんなら、おそらく「なぜ音楽理論が必要なの?どう役に立つの?」といった疑問を持ったことがあるでしょう。
実際のところ、リアルにみなさんにお伺いします。
音楽理論書を読んでスケールとかコードネームとかを勉強して、それが作曲の役に立ったことはありますか?
コードから作曲する人なら全く役に立たないとは言えませんが、「ものすごく役に立った!」という人はほとんど聞いたことがありません。
私が専門学校で教えている生徒でも、学校で受ける毎週の音楽理論は、意味は分かるけどそれを使いこなせていない、、、というか、使いこなそうと思ったことがない人ばかりです。
実際その通りで、音楽理論は一生懸命に勉強すれば理解できますが、積極的に意味を持って使おうとしなければ何の役にも立ちません。
みなさんも、学校で英語を6年間も習ってきましたが、話せる人はおろか、日常生活で役に立ったことなんてほぼない人がほとんどでしょう。
積極的に使えるところを見つけないと、どの勉強でもほとんど役には立ちません。
個人的な意見ですが、世の中で、どうやったら英語や音楽理論が役に立つかということを教えれれる先生が少なすぎると思います。
ドリアンスケールを理論的に教えても、ドリアンが存在るる歴史はもちろん、なぜドリアンスケールがメジャースケールより使いづらいかを教えれる講師なんてまずいません。
”ハーモニックマイナー”や”メロディックマイナー”は理論的にはカンタンに教えれますが、バッハが操るハーモニックマイナーや、すぎやまこういちが扱うメロディックマイナーのすごさは教える人はごくわずかです。
本当にバッハのハーモニックマイナーは感動レベルなんです。
専門学校での音楽理論の講師は、音大でとりあえず勉強した程度の楽器プレイヤーの方や、作曲をほとんどしたことがない若い人が教えている人も多いし、作曲家でも誰にでも誇れる試作品を手掛けたことがない人ばかりです。
つまり、実作業においてどう積極的に使ってるかわからない人が教えている人がほとんどなんです(数はすごく少ないですが、もちろん中には素晴らしい先生もいらっしゃいますよ!)。
というのも、1年生で習う音楽理論は、その学校のエース講師が教えることがほとんど無いからです。
学校も、とりあえず1年生なら楽典を、、、なんて軽く考えているからですね。
私も、学校で音楽理論の授業を受けていた時は、これが一体何の役に立つのだろう、、、とずっと疑問に思っていました。
いや、まだ疑問に思うだけましだったのかもしれませんね。
せめて、2~3年生になるとすごく訳立つから今の間にしっかりと勉強しておくようにくらいは言っておいてほしかったですね。
また英語で例えると、1年生で英語をしっかりとやっておきなさい!2年生になると授業は全部英語でやるから、今やっとかないとヤバいぞ!的な感じかもれませんね。
どうして自分は音楽理論が必要性かがわかり、役に立ったのか?
2,3年生になると、基礎の音楽理論を使った授業が増えるので、それについていかなければならないので、1年は基礎音楽理論は必要です。
ですが、、、その2、3年生で習う難しめの音楽理論でさえ、作曲に直接結びつくような内容でないことがほとんどです。
たくさんのスケールを教えても、それがどれだけすごいことなのかわからなければ価値がありません。
つまり、受け身の音楽理論は作曲においては意味が薄いということですね。
話は戻りますが、私は学生時代、音楽理論を100満点でテストはパスし、知識だけは学生の中では全国トップレベルであるという状態でした。
そんなの勉強すれば誰でもなれるし、何の自慢にもならない、、、とかなり冷めた目で見ていました。
そんな自分に大きな転機が起きます。
私は学校卒業と同時にプロの作曲家になり、デビュー作から驚くほど大きなプロジェクトに入らせてもらったのですが、ありがたいことにそのプロジェクトで世界的に高い評価をいただくことになりました。
イギリスのwikipediaにも掲載され、プロ1年目はこれでもかというくらい破竹の勢いだったことを覚えています。
そこから続けて2作目も高い評価を得ることができ、仕事もだんだんと増えていきました。
複数タイトルを同時に担当することなんてザラですね。
最大14タイトルを同時に担当するという、今から考えるととんでもない時代でした。
そうなってくると、とてもじゃないですが、、、
締切に間に合いません。
1日2曲くらいでも全然間に合わないんですよね。
その時まで私は、音楽理論をつかった作曲をほとんどしておらず、自分の中にあるものだけで新しいものを作り出そうとしていました。
なので、曲をつくるたびに新しいテクニックを開発してやろうという、オリジナリティを重視した作り方だったんです。
本当に理想だけを追求していました。
ですが待っていたのは、、、閉め切り過多による制作の破綻でした。
もちろん実際に破綻することはありませんでしたが、もういつ川が決壊してもおかしくないほどのヤバさでしたね。
そこで思いついたのが、好きな曲のエッセンスを有効に取り入れていこうということでした。
楽譜などが出ていないけれど大好きな曲をコピーしてみて、そこにどんなテクニックが使われているかを調べてみることにしました。
今から考えると、締切前にとんでもない決断ですね笑
ですがこれが英断でした。
その時間のない中、なんとか時間をつくってコピーしていくと、、、世の中のカッコイイ曲って、こんな痺れるようなコード進行や転調しているということが手に取るように分かったんです。
コードはⅠmやⅤなど、トニックからの距離で機能が変わるので、そのコードがそれが音楽的にどういう意味をもっているすぐにかわかりました。
さらには、キーがCの時にbミ・ド・ソの音が使われていたとすると、これがすぐにAb△7をマイナーから借用していることがわかりました。
「このタイミングでこうやって借用すればめちゃカッコイイのか!」と理解できました。
やはり、スゴいと思った曲は、自分の音楽にはない新しい和声やコードを使った素晴らしいものでした。
そのエッセンスを理解し、自分の曲に取り入れていけば、結果としてスピードは大幅に早くなり、楽曲のクオリティも高くなりました。
そこで思ったのが、”手に取るように分かった”というのは、学生の頃に徹底的に勉強した音楽理論が土台にあったからなんです。
この基礎があったので、他の曲を分析して、すぐにそのテクニックを理解できたんですね。
そしてさまざまな楽曲をコピーし、すばらしいテクニックを理解できば、理論なのですべて文章にできるので、いつでも使えるようにバンバン自分の引き出しにしていきました。
ここで、音楽理論を勉強するってこんなに大事なことだったんだと初めて気が付きました。
最初は自分の感覚だけで作ってやろうというトガった気持ちだけで作曲をしていましたが、やはり世の中でどんどんレベルが上がっていく楽曲に追いつくためには、人の考えた素晴らしいアイデアも取り入れていかなくてはならなかったんです。
このことを理解でき、自分で音楽を譜面化・理論化させることができるようになれば、世の中に流れているすべての曲は、
自分だけの教科書になりうる可能性がある
ということなんですね。
世の中の楽曲で楽譜のあるものは有名なほんの一部だけなので、TVCMや、テレビで流れたほんの一瞬の曲などでも勉強する価値があると思えばmp3にして研究しました。
音楽理論は、私にとって、世の中の音楽のすべては教科書にしてくれる最高のツールなんです;
音楽理論を使えば、どんな曲でもまるで英語を日本語にするかのように翻訳できてしまいます。
注意!それでも感覚が一番大事
このように話すと、音楽理論は大事なのはわかってもらえたと思います。
ですが、音楽理論だけ勉強しても作曲力が劇的に上昇するわけではありません。
とうのも、作曲において必要な能力は、感覚が70%、理論で補える部分はわずか30%しかないように感じるからです。
とうのも、やはり作曲はセンスが必要なんですよね。
このセンスを補えるのはわずか30%しかありません。
この30%をフルに最大限使えば、感覚が50しかなかったとしても80まで持っていくことができます。
80もあればプロになれますよ。
もしくは、人によっては音楽理論が40くらいまで高めることができれば、、、なんと90です!!
ちょっとこのあたりは数字で表すことができにくいので何とも言えませんが、なんとなくイメージしてもらえればと思います。
まとめ
音楽理論は、いわば音楽を作る社会での共通言語です。
アメリカ人も、フランス人も、フィリピン人も、ブラジル人も、みんな同じこの音楽理論を勉強しています。
音楽の世界では、音が言葉のように扱われるので、その音楽理論は全是界共通です(呼び方は各国少し変わりますが、、、)。
このようなことがわかれば、初めて音楽理論は自分にとって意味のある学習となります。
音楽理論と楽曲のコピー、
これはセットですね!
私の授業では、このような実践的なことを取り入れており、音楽理論と作曲が密接に結びつくように教えています。
クラシックでも、歌モノなどのポピュラーなどでも、この方法はしっかりと役に立ちます。
自分にとっての最高の教科書を見つけて、最高の作曲を楽しんてくださいね。