歌手オーディションを受ける人に朗報です!
今回、オーディションの審査委員長を何度も経験されたT氏に直接インタビューすることに成功しました!
しかも、顔出し名前出しNGとの条件で、かなり突っ込んだことまで聞かせてくれましたよ。
今回インタビューさせてもらいまいたT氏は、作詞・作曲・編曲まで手がける音楽プロデューサーで、映画やアニメの音楽も作られていますよ。
これからオーディションを受けて歌手を目指したい方は必見の内容です!
アーティストへの楽曲提供をはじめ、映画音楽やゲーム音楽の作曲も手がける。
現在は、オンラインビジネスにも興味があり、新しい音楽制作のカタチをクリエイトしていきたいとのことでした。
※画像はイメージです
目次
オーディションに受かるコツ
審査員はどんなところに注目していますか?
率直にお伺いしますが、オーディションってどのようなところに着目して審査されていますか?
一番大事にしていることは、オーディションごとに必ず「コンセプト」があるので、そのコンセプトにもとづいて最高のパフォーマンスをしてくれる人を選ぶことです。
例えば映画やアニメの主題歌オーディションなら、作品の世界感を広げてくれる人ですね。
なるほど!その人の個性と作品が合致する人ですね。
そうなんです。
乃木坂46も「清楚」というコンセプトで審査していますよね。どんな美人でも、派手系の人は絶対に合格できません。
なのでこちらも、ただ単に魅力的な人を選んでいるわけではなく、毎回違った信念やキーワードに基づいて人を選んでいます。
オーディションに受かるコツ
では、オーディションに受かるコツっていうのはありますか?
コツ、、、といわれると難しいですね笑
もし、あえてコツというならば、自分の名刺代わりとなるような「ウリ」をしっかりと理解し、それを磨くように努力することです。
自分の一番自信のあるところを磨くということですか?
自信のあるところや得意なところですね。オーディションって、先程も言ったようにそれぞれコンセプトがあるんです。しっかり個性を磨いておくと、その個性とオーディションのコンセプトがガッチリマッチしたときに「合格」となるわけです。
なるほど!歌が飛びぬけて上手い人ならどのオーディションでも受かるというわけではないんですね。
どのオーディションに受かる人なんていません。アーティストやアイドルがこれだけ個性豊かな時代であるのは、それを選ぶオーディションもバラエティ豊かなんです。
何十、何百種類ものコンセプトがあります。
それだけ幅広い個性を網羅したスーパーマンなんて絶対にいないですよね笑
あのイチローも、”ヒット”を打たせたら世界一ですが、”ホームラン”だったら年間最高で15本しか打ったことがありません(メジャー時代)。
つまり、全てにおいて平均的に80点出せるような優等生より、全体的に60点くらいでも、1つだけでも95点出せる人の方が圧倒的に合格しやすくなります。
では、3つほどウリになる個性があればめちゃめちゃ優秀なんですね!
いえいえ、もちろん個性がたくさんあるのはいいんですが、あのメジャーの大谷選手でも「二刀流」ですよね。わずか2つの抜き出た個性です。
なので、個性は1つ抜き出ていればいいんです。
1つ抜き出た個性が育てば、自然と他の能力も育ってくるので、基本的には1つの部分を伸ばしていく感覚で問題ありません。
なるほど!それで大きなオーディションでも「え!?この人が合格なの!?」っていうことが起こりえたりするんですね!
そうですね笑
たまにコンセプトがあまりにピンポイントだったり、前回とは違うタイプを、、、などといったいろんな状況が重なった場合、そういうことも十分起こりますね。
そういう大人の事情は、オーディションを受ける人に漏れることはありえませんので(ほぼありえません、多分)、オーディション対策よりも、自分の個性磨きの方が重要になってくるわけです。
オーディションで受かるには、どんな練習をしたら良いの?
では、その個性を伸ばすにはどのような練習をしたら良いでしょうか?
まずは、なりたい自分をしっかりと描くことです。歌手だったら、アイドル寄り路線で行くか、本格歌手路線に行くか、アニソン路線で行くか、まずは本気で戦ってみたいジャンルを見つけることです。
もしできるなら、もっと細かく、アイドルの中でもダンスが売りか、ビジュアルが売りかなどを決めていくと良いです。
あれもやりたい、これもやらなきゃ、、、と、まんべんなくやみくもに練習してしまうだけでは、どれをとっても70~80点の人に仕上がってしまうだけです。
それが、個性を磨くということの第一歩となるのですね。自己分析は大切なんですね。
そういうことです。その路線で、自分は何が足りないか、自分はどのように活かせるかを分析するんです。
本格歌手を目指すなら、自分の目指す方向で信頼できる歌の先生を探したり、実際に練習するだけでなく、自分を高めてくれる人間関係を築くのも1つの手です。
長所を伸ばすということが最優先ということですね!では、短所には力を入れなくても良いのでしょうか?
もちろん短所は放置していてはいけません。
自分のことをしっかり分析できていれば、長所と短所がわかります。それを知ると、自然とやることが見えてくるはずですよ。
長所って、長所が行きすぎた先に短所になっていることが多いですから。
例えば、トークが上手な人は、しゃべりすぎると逆にうるさいですよね笑
荒々しさがウリの歌い手は、メリハリ表現が苦手な人が多いということです。
何度も同じことを言ってしまいますが、ただ先生に与えられたものを「やみくも」に練習するのは良くないということですね。
もちろん、基本は自分が「本気でやりたい!」と思えることを突き詰めていくことです。その上で、足りない部分をしっかりと補っていく感じですね。
オーディション当日で気をつけること
当日、最も注目していることは何ですか?
では、当日はどんなことを考えながら選考されているんですか?
私はいつも、2つの視点からみています。
まず1つの視点は、さっきお伝えしました「コンセプト」にどれだけ一致しているかと言う点です。
みなさんに直接影響があるのは、次の2つ目の視点だと思います。
2つ目の視点は、歌の技術力やCD作品を作ったときどのくらいのクオリティに仕上げることができるかと言う点です。
私は、歌の技術力の中でも「声質」と「テンション感(人を高揚させる力)」を重視しています。
声質はわかりますが、テンション感ってなんでしょうか?
説明は難しいですが、全力でテンションを上げきって自分を表現できるかということです。
美しくきれいに歌うのではなく、荒くてもいいのでテンションをしっかり上げて歌って欲しいです。
ほとんどの方が、本番当日ではリズムやピッチを重視しながら「正しく」歌おうとしているのですが、僕からしたらどうてもいい、、、と言ったら言い過ぎですが、さほど重要視していません。
といっても、明らかにズレているのは論外ですよ笑
オーディションに本気で受かる気があるなら、ピッチやリズムくらい合わせる練習は普段しておきましょうねってことです。
驚きました笑
いままで私が練習して来たことが全て否定されたのかと思いましたよ。
もっとわかりやすく言うと、オーディションで最も重視するものは、「レコーディングで修正できないもの」を持っているかということです。
例えば、今の時代「リズム」や「ピッチ」って割と簡単に修正できるんですよね。なので、あとからどうやっても修正できない声質やテンション感って、やはり重視しなければならなくなってくるんです。
声質で言うと、太く柔らかで包み込めるような「気持ちいい」声質は特にポイントが高いですね。
個性をアピールするってどのようにすれば良いの?
それでは、個性ってオーディションでどのようにアピールするのでしょうか?
長所がわかっていても、イマイチ本番で力を発揮できる気がしません、、、
これは本当に難しい質問ですね笑
実際、自分の個性をしっかりアピールする技を習得しているアマチュアの人なんてほぼいないんです。われわれは、そういった個性をダイヤモンドの原石として、磨けば光る素材を探すためにオーディションをしているので、最初から光っている人がたくさんいたらオーディションをする必要がないんですよね笑
たしかにそうですね。
われわれは、原石を発見してその部分をアーティストとして輝かせるようにするのが仕事です。プロ野球で言えば、ドラフトの下位指名だけをしているようなものなんです。
即戦力なんて期待していません。
なので、自分のやりたいこと、本気で突き詰めたいことをしっかりとやり続けて欲しいんです。
ですが、本番でなかなか力を発揮できない人も多くないですか?
多いですね笑
見ていて苦しくなるような人もいますが、そういった人でも原石としてちゃんと見抜ける人が審査員をしてるので心配は要りません。
なので多少緊張して失敗していたとしても、本当に何かを持っている人ならば必ずどこかのオーディションには受かりますよ。
これは断言できますね。
本番でのミスは致命的な減点になりますか?
本番でミスして泣いている人も多いですよね。
そういった方にアドバイスはありますか?
フィギュアスケートが転倒などのミスをしたら致命的な減点となると思いますが、歌のオーディションでは審査員によって、またオーディションの内容によっては変わると思います。
私の場合ですが、ミスそのものは減点にしません。ミスをした時の本人の処理方法を審査するイメージですね。
たとえば、一回ミスをしてそのまましょげて引きずってしまい、最後までよいパフォーマンスができなかったら致命的な減点です。
ですが、ちょっとミスをしても引きずらず「やっちゃった><」くらいに笑顔で笑って、しっかり最後までパフォーマンスできたら、全く問題はありません。
場合によっては加点もあり得ます。
だって、そういう人って魅力的じゃないですか。
そういう人は、プロになってもちゃんと大勢の人心をつかめると思いますし、何といっても将来ステージに立たせても安心できます。
一生で一番緊張したのがオーディションだったという人も多いくらいですからね。
そこでちゃんと失敗しておくというのは、逆に悪いことではないということですか?
完全にYESとは言えませんが、そういうことですね。
あの日、人生経験ができて良かったねと笑って言える日が来ることを祈るばかりです。
でも、本番でミスが起きないくらい普段から一生懸命練習しておくことが基本ですよ。
普段どのくらい練習しているか?本気度はどのくらいあるのか?っていうのは最初の10秒でわかってしまいますから笑
たとえ大きなミスをしたとしても、残りのパフォーマンスは絶対全力を出し切る!という強いモチベーションをを持ってくださいね。
なるほど!
ちょっと安心しました笑
個性を伸ばすには
勝負できる個性を把握する!個性には、「伸ばせる個性」と「伸ばせない個性」がある
こういうのはとてもつらいことなんですが、生まれつきどうやってもオーディションに合格できるほど個性を伸ばせない人と、生まれながらにしてプロで通用する個性を持っている人がいるのは事実です。
とくに芸能関係のって、先天性の要素がとても強いんです。
プロ野球でも、ホームランバッターになれない人は一生なれない、、、というのと同じですね、、、
僕も昔、高校で野球をしていましたが、非力だったので上位打線には一度も打たせてもらえなかったつらい過去があります。
そうですね。
たとえば、声質が良い人は、生まれながらにして声質はとても良いです。3年前声質が悪かったのに、今はとても声質が良いよね!っていう人はまずいません。
生まれつき運動神経の悪い人は、3年後にキレッキレのダンスが踊れるようになることもありません。
なので、それだけ自分の勝負できる個性を見つけるということが重要となってくるんです。
生きる道を探すことが、音楽の道で生き残る唯一の手段ということなんですね。
まさにそうなんです。
僕は今は作曲をしたうえでプロデュースもしていますが、一番最初に目指したのは歌手なんです。
ステージに立ってみんなの前で輝きたかったのですが、自分の歌のポテンシャルではどうしてもそれができなかった、、、
自己分析をしたところ、自分が輝くより、人を輝かせる方にいろんなアイデアが溢れていたので、今の仕事に路線転換したんです。
これが大ハマりして現在に至っています。
なので僕は、みなさんが歌手になりたいという気持ちが痛いほどわかる審査員なんですよ。
この気持ちがわかるかどうかで、合格後の信頼関係が築けるかどうかが変わります笑
マルチタレントを目指したい人も多いですよね。
なるほど!今日の質問でちょっと気になったことがあるのですが、1つの個性をしっかり伸ばすことが大事とのことでしたが、アマチュアの方で、歌を歌ったり楽器をしたり、舞台に立ったり幅広く勉強している人いますよね。
将来的にマルチタレントやりたい、、、って思う人も多いと思いますが、そういう人にはどうやってアドバイスをされていますか?
最初からマルチを目指すのは不可能です。たとえば、野球とサッカーどちらでもプロになりたいと言っているようなもので、まず現実的に不可能です。
まずは、何を一番最初にやりたいか?を考えましょう。
そして、プロになって実績を残してから、役者にも挑戦したいといった夢に近づけるものです。
最初から、歌も役者もいろんなことを本格的に練習する必要はありません。
まず、何でプロになりたいか、その道でプロでどうやったら成果をあげることができるかだけを考えてください。
(例えば、歌の感情をつくる練習をするために役者の勉強をするのでしたら全然OKです)
1つのことでプロになる厳しさをまずは知って欲しいですね。
たしかに、アマチュアであるほどマルチタレントと公言する人は多いです。そういった人は”アマチュアの世界”ではきっと優秀なマルチタレントなのでしょう。
ですが、先程言ったすべてで80点を出せる優等生タイプではダメなんです。
強い飛びぬけた個性を探しているオーディションにおいては引っかからないと思います。
今、自分が活動しているどれかでプロになれればいいや、、、と思っている人がほとんどのようですが、そんなに甘くはないということなんですね。
そうですね。1つのことを突き詰めることは、死ぬような思いをしてようやく成し遂げることができるということなんです。
2つ同時に突き詰めるなんて、貴重な若い時間を無駄に使っているようなものですよ。
でも、マルチな活動ができる人は、間違いなく才能は持っています。
その才能が器用貧乏を引き起こしてしまったら、、、才能の無駄遣いですね。
厳しいことを言うようですが、1つに絞ることが近道なのはまちありません。
その他の質問
審査員って、やっぱりすごい人たちばかりなんですか?
なかなかオーディションに受からない人って、審査員が悪いというように言われることはありませんか?
まぁ、とてもありますね。
自己分析をちゃんとできてなかったり、才能がない人ほどよく言います笑
確かに、オーディションの審査員には、クライアントで全然音楽わかっていない人も参加することがあるっていうことも事実です。
それは、大人の事情ということですね笑
Tさんはもすごい実績があると思うのですが、何かこれは、、、というエピソードがあったりしますか?
私の場合、歌わず話しているだけで、言葉づかいのリズム感や声の発生ポイントの位置で、歌の良し悪しはほとんど判断できてしまいます。
過去に一度、全然音楽のプロを目指してない人で、たまたまプライベートで出会った人があまりにも歌えそうな声の人がいたので、ちょっと歌聞かせてください!って歌ってもらったことがあります。
そしたらやっぱりすごく魅力的だったので、後日自分が担当することになっていた映画の主題歌オーディションを受けてもらって、そのまま歌手デビューとなりました。
小さな映画でしたが、自分の発掘力に自信が持てるエピソードでした。
結局、その人は家庭の事情やプロの世界で生き残るモチベーションの問題で、わずか数作だけで引退してしったことが心残りです。
歌わずしてオーディションでの優勝を予測できたのは、確かにすごいことですね。
僕の歌の実力もバレてしまってるのか怖いですね笑
それはどうでしょう、、、笑
まとめると、全ての審査員が音楽を良くわかっている人ばかりというわけではありません。
10人いれば、審査している場所は10箇所あるといっても良いでしょう。
なので、オーディションは受ければ受けるほどチャンスは広がるので、たくさん経験をつむためにもたくさん受けてくださいね。
審査員に個人的にお願いすることは効果がありますか?
昔よく聞いた話ですが、審査員と特別な関係になれば、、、といった話は本当ですか?
このご時勢、そんなことはありませんね。
このあとカラオケとかで個別に歌を聴いてください!とか、これ食べてくださいとか、個別に接触してこられる方は多数いらっしゃいますが、ほぼ効果はないといっても良いでしょう。
少なくとも私には一切関係ありません。
オーディションが終わった瞬間には、もう合格候補者はほぼ決まっていますからね笑
個別に歌は聴かなくても、オーディションで聞けばわかっているし、デモテープをもらっている場合だったらなおさらですね。
でも、私の好きな食べものを調べて差し入れしてくれる方は、本当のところはすごくうれしいです。
そのあと新幹線とかでちゃんとありがたく食べさせてもらったりはしていますが、オーディションの結果とは一切関係ありません。
まずは、合格してから、、、が、こちら側の次のスタンスです。
確かに、、、昔はいろいろあったという話は聞きますが、最近はほとんど聞かないですね。
なるほど!
男性は不利なのかと思いましたが安心しました。
本日はありがとうございました。
第2弾もまたお願いしてもよろしいでしょうか?
もちろん大丈夫ですよ。
もっと突っ込んだことでも大丈夫です笑
コメント
[…] 引用:審査委員長に合格のコツをインタビューしてみた […]