ドップラー効果ってなぜ起こる?救急車を使ってわかりやすく解説

近くを通る車や救急車の音が、自分の目の前を通り過ぎたら突然音が低くなるという経験をしたことがあると思います。

なぜそんなことが起こるのでしょうか?

その仕組みをわかりやすく解説していきますね。

仕組みを知る

まずは、この音を聞いてみてください。

救急車が近づいてきて、目の前を通り過ぎたら突然音が低くなりますね。

この現象は、これは「ドップラー効果」と言って、空気中を伝わる音の振動が影響しています。

音は、音が鳴ったり何か衝撃があったとき、その振動が空気中を伝わり音が遠くまで聞こえるようになります。

例えば、糸電話で話した時、振動が糸を伝って遠くまで音が運ばれますよね。それと同じように、音の振動は空気中を伝っていきます。
(宇宙では空気が無いので、音が伝わりません)

そして、下の図のように、その振動の波が短ければ音が高く、波が長ければ音は低く聞こえるという性質を持っています。

この性質により、ドップラー効果が起きるのです。

それでは、その仕組みを説明していきますね。

なぜ音の高さが変わるの?

止まっている救急車のサイレンの音の波

空気中を伝わる音は、風が無く気圧も同じ条件ならば、基本的に一定の速度で音の振動が広がっていきます。

なので、もし下図のように救急車のサイレンが「ド」の音で鳴ったとします。

その音が鳴った地点から300m西にいる人が1秒後に「ド」音が聞こえたなら、反対の300m東にいる人も同じく1秒遅れて「ド」の音が聞こえるということになります。

動いていないサイレンの音は、下の図のように均等の幅で空気中を伝っていきます。

なので、どの場所でサイレンの音を聞いても音の高さは変わりません。

動いている救急車のサイレンの音の波

次に、動いているサイレンの音で考えてみましょう。

車は動いていても、空気は動いていないので、下の図のように、音が出た瞬間から車の移動分だけ、波の形はズレていきます。

その結果、動いている方向より前の波の幅は小さくなり、後ろの波の幅は大きくなります。下の図でも前と後ろで波形の大きさは変わっていますね!

波の幅が変わると言うことは、音の高さも変わるということです。

救急車の前にいる人は、波の間隔が小さいので音が高く聞こえ、後ろにいる人は低く聞こえることになります。

その結果、通り過ぎていくサイレンの音は、目の前を通ることを境目に波の間隔が変わるので、音が急に低くなったように聞こえるのです。

補足

正確に言うと、目の前を通り過ぎた救急車のサイレンの音が低くなったと言うわけではなく、近づいてくるサイレンの音も高くなっています。

そして、目の前を通り過ぎる一瞬だけ、本来のサイレンの音になるのです。

高く聞こえるサイレンの音が、突然低くなるのでより音程の変化を敏感に感じ取ることができるのがドップラー効果です。

最も身近に感じることができる、音の科学ですね!

ドップラー効果にまつわる雑学

次に、ドップラー効果にまつわる雑学を紹介します。

その前に、音速について知っておくと更に理解が深まります。

音速は、秒速340mくらいで、時速に直すと時速1200kmくらいです。

移動速度が速くなればなる程、音は高くなるの?

時速60kmで走っている車の場合、時速60kmは音速の約1/20の速度なので、周波数は1/20倍高くなります。1000hzなら1050hzになって聞こえます。

近づいてくる音の高さが1050hzとすると、遠ざかる音の高さが950hzなので、目の前を通り過ぎる車の音程の落差は、100hz分の落差になるわけですね。

実音で言うと、1050hzがC5(ド)くらいで、950hzがBb4(シb)くらいなので、時速60kmで目の前を通り過ぎる車の音は、半音2つくらい下がるということになります。

音速を超えるとどうなるの?

先程の救急車が速く動けば動くほど、近づいてくる時のサイレンの音は高くなります。

そして音速に近づけば近づくほど、さらに音は高くなります。

ですが、、、もし音速の340km/秒より速く動くとどうなるのでしょうか?

ありえませんが、音速よりも速く、救急車が動く場合です笑

速く動けば動くほど、救急車前方の音の波の間隔は小さくなります。そして、小さくなってさらに小さくなると、、、もう波同士がピッタリくっついてしまいます。そうなると、空気の伸縮性の限界が起こり、空気は壁のようになります。

フワッフワのスポンジも、つぶしてつぶして小さくしていけば、最後はすごく硬くなるのと一緒ですね。

そうなると、音同士がぶつかり壊れて爆音と共に衝撃波がおきます。

その時に出る白い煙のようなものが「ソニックブーム」と言われるものです。

この衝撃波は、相当な衝撃を機体に与えるため、戦闘機などは音速を超えるとよく爆発してしまうことがありました。

「音速は超える乗り物はない」と言われていた時代もありましたが、長年の研究の結果、1947年についに音速を超えました。かなり昔ですね笑