こんにちは。
今回は、ゲーム開発現場におけるサウンドチームについて、私の経験をまとめたいと思います。
ゲームを作る期間が2年くらいの作品では、ゲームの開発具合に合わせて、必要なメンバーが徐々にチームに合流することになります。
サウンドセクションはどのタイミングで開発チームに入るのかという疑問に迫ってみたいと思います。
目次
ゲーム会社における、サウンドセクション
問題!サウンドチームはどの段階で入ってくるのでしょうか?
では、早速ですが問題です!
サウンドチームは、その2年の制作段階のうち、どのタイミングで入ってサウンドの制作をしはじめるのでしょうか?
前半、中盤、後半と分けましたので、次の説明を読みながら考えてみてくださいね。
次の3つから選んでくださいね
①前半
ゲームの企画が通り、全体のイメージ作りが始まります。
ゲームの世界観、シナリオ、ゲーム性など、そのゲームを面白くする設定が細かく入念に決められてゆきます。
そして、世界の地図やイメージ背景、キャラクターなどのラフ画が出てきます。
②中盤
ほぼ世界観とゲーム性が固まってきたら、それを実際の画面で確かめてみます。
ざっくりと”1ステージ”のみとか、いくつかのキャラクターが動いたり、少しコントローラーでゲームらしいものができあがってきます。
いわゆるプレイアブルと言われる状態ですね。
本当にそのゲームが面白くなりそうかチェックできるレベルになります。
③後半
後半は、それまで決まったゲームシステムを使って、作れていない残りのステージ、キャラクター、ボスなどをつくるため、たくさんの人がチームに合流してきます。
そして、ゲームに必要なデータがほぼほぼできあがってきたら、最後はデバックをしてエラーやバグがないかをチェックしていきます。
答え
絶対の答えはありませんが、私の経験からすると、外注だったら③が多く、内製だったら②や③からチームに合流することが多かったです。
もし、サウンドシステムをつくる人だったら、他部署とのメモリ割り振りなどの話し合いもあるので②の中盤から1~2人ほどに入ることも考えられます。
たまーにですが、シナリオができた①前半の時期に、主題歌だけ先にほしいとの理由で一時的に入ることもあります。
つまり、ゲームの開発チームによって様々ということになります。
シナリオ制作者や企画チームでゲームの方向性を決め、その後プログラマやデザイナーが入り、後半にサウンドチームが合流し、最後にデバッグチームといった流れですね。
後半にチームに入るサウンドチームの悲劇
実は、開発チームの中でサウンドチームが泣きをみることが多いんです。
これって、サウンドはチームに合流する順番が遅いというところがとても重くのしかかってきます。
これを説明するために、”9月1日に発売するゲーム”があったとして説明したいと思います。
9月1日発売なら、6~7月中にはデバッグでバグをなくさないといけなくて、8月は商品作りに入って出荷の準備です。
となると、デザインやサウンドが作るデータは、だいたい6月上旬には「締め」といって、データをもう更新したり追加したりすることができなくなります。
このスケジュールをもとに説明していきますね。
BGMは予想で制作できるが、SEはできない!
サウンドチームが入ってきた時には、ある程度のグラフィックができていたり、ゲームとしてそこそこ遊べるようになっていることが多いです。
ある程度ゲームができていたら、BGMはある程度予想して制作をはじめることができますが、グラフィックと完全同期しなければならないSEは、予想で作ることができません。
キャラがどういった動きをするのか、キャラにどんなエフェクトがつくのかが完全にわかるまで制作できません。
例えば、あるキャラが魔法を使うシーンに、サウンド担当が予想をしてド派手なSEをつけていたのに、エフェクトは意外に地味な感じだった、、、ということになったりするととても無駄な作業になってしまいますよね。
この場合、必ずサウンドがやり直しをすることになります。
ディレクターは、まずはグラフィックをチェックしてから最後にサウンドをチェックすることがほとんどだからですね。
デザインチームは、中盤からガッツリ入ってくる
このように、グラフィックができてからサウンドを作ることが大半です。
もし、ゲーム後半までデザインチームがフィックスしてくれていなかったら、サウンドチームがいつまでも作業ができません。
なので、ゲームデータの締め数ヶ月前には、デザインチームがそれ以降データ更新をできない、デザインチームの「締め」というものが設けられています。
例えば、ゲームデータをもう変更できない閉め日が6月30日なら、他部署との兼ね合いも考慮して4月30日以降はデザインチームはデータを更新することができないといったようなことですね。
でも、、、デザインチームもクリエーターです。
時間が許されるなら、、、いつまでもブラッシュアップを続けたいものです。
この時期以降でも、こっそりとデータを更新してくる人がいるのです><
そうなると、せっかく絵に合わせて作ったサウンドチームのデータのタイミングが微妙にズレてしまったりして、「バグ」としてデバッグチームからフィードバックが来るのです。
もちろんこのバグはデザイナーが発端なのに、サウンドがおかしいと責任を取らされてしまいます。
やはり、グラフィックとサウンドがズレているとサウンドがミスってると思われてしまいますよね。
一回そういうことが起きると立て続けに同じことが起きたりして、何度も何度もバグとして報告が上がってきます。
そうなると、サウンドチームとしてはたまったものではありませんよね。
そうなると起きるのが、、、
ケンカです。
サウンドチームとグラフィックチームがバチバチやっちゃうわけですね。
グラフィックチームにも制作序盤での企画チームの仕様が決まるのが遅くなったからという理由もあったりする上に、開発後半はチーム全体がピリピリしているのでケンカはますますヒートアップします。
そして、ラチがあかなくなってディレクターを交えてスケジュールの仕切りなおしが行われ、結局デザインチームの締めが5月31日と仕切りなおしとなったりします。
ですが、、、ここでサウンドチームに悲劇が置きます。
どんな仕切り直しをしても、6月30日のゲームデータの締め日は、ほぼ動くことはあまりありません。
なぜなら、発売日の9月1日は世に発表してしまっているからですね。
つまり、サウンドチームは2週間ほど制作期間が他のチームより少なくなってしまうのです><
こういったことから、サウンドチームは他のセクションが遅れた分のしわ寄せを必死で受け続けなければならない辛いセクションなのです><
でも本当のゲーム制作の地獄は、発売前のデバッグとその対応を行うプログラマーチームですけれどもね><
サウンド以外のセクションの皆様、サウンドは最後にしわ寄せが来ているということもご理解いただければ幸いです!